今日は私の大学生活の中で大半を占めているゼミについて、通常私たちがどんなことを検討しているのか、今日のゼミでやった問題を挙げて紹介してみようと思います。

 今日のテーマは「本の貸与」でした。

 1:市立図書館が株式会社に図書館運営業務を委託した場合、著作者は市及び委託先の企業に対し、貸与権侵害に基づく差止請求及び損害賠償請求が可能か。
 2:市立図書館司書が、新しい血液型占いについて紹介した本を自己の信条――血液型占いのような迷信が流布されることに市立図書館が関わるべきではない――に基づいて蔵書から外した場合、著作者及び上記占いの考案者は、市に対し損害賠償を請求することが可能か。
 3:古書店が、自分の店で購入した本は購入後一ヶ月以内であれば購入価格の7割の値段で買い取りをするサービスを始めた。これは著作権法上問題があるか。

(注:本当は具体的な事例問題なのですが、全部掲載すると長くなるので、論点となる部分を中心にまとめました)

 ……うちのゼミは、実際に問題になった(例えば、問2は船橋市で起こった事例――『新しい歴史教科書をつくる会』のメンバーに関連する本を司書が市の基準に沿わずに廃棄した――を元にしています)orこれから問題になりそうなテーマについて、自分なりの結論を出せるように議論しながら勉強していこう、というゼミです。特に後者の場合ですと裁判所の判断が出ていない事を議論することになるので、これまでの判例・学説を整理した上で、妥当な結論を探ることになります。
 先生は、まぁ色々とこの分野で有名な弁護士の方です。それ故、先生が関わった事件、果ては現在係争中の事件までもが題材となり、弁護士の仕事の実情もかいま見えてきたりして、なかなか面白かったりします。

 さて、問題を見ると、少し著作権法を勉強されたことのある方なら、「何だ、簡単じゃないか」と思われると思います。
 実際そんなに論点は多くはありません。問1なら著作権法第38条4項、問2なら(本当は著作権法で議論すべき問題ではないと私は思うのですが、敢えて言えば)著作者人格権、問3は疑似貸与行為が論点になります。
 ただ、結構先生の突っ込みが厳しいのです。