もう一つ、素直にストを支持できない理由は、選手会側の主張に無理がありすぎるという点です。

 根本的な点として、「とりあえず来年は何が何でも12球団」という主張です。

 現行の12球団でやっていけないからこのような事態になったのでしょう?たとえ今すぐに楽天ライブドアが参入したとしても、今の制度ではほぼ間違いなく赤字になります。結果として、またどこかが撤退・最悪倒産という流れになってしまう。新球団を迎え入れるためには、加盟料だけでなく試合数、年俸、放映権料、ドラフトなどの制度改革が何よりも優先なのに、「まず新規参入・雇用の確保ありき」という姿勢が見え隠れする(それ故イの一番に加盟料が問題となったのです)。正直オーナー側の「まず1リーグありき」と言ってることこそ違えど、どちらも目先のことだけでさほど変わらんなぁ、という印象です。オーナー案よりは理解できますが、一時しのぎに代わりはありません。

 私はまず機構改革を提言します。新規参入の話はそれからでも遅くはありません。その点、根来コミッショナー提言の『司法・経済等の有識者による第三者委員会の設置』は、言い尽くされてきた当たり前のことではあるけれども、機構側からの提言という点で、改革への大きな第一歩かつ譲歩であったはずです。スト突入で、この案までも反古になってしまうのであれば、大変残念です。
 プロ野球が意欲ある投資家にとって魅力的な市場となるために今何をしなければいけないのか、新規参入云々よりも、こちらの方でストをしてくれたら(有効なストかどうかの件は別として)まだ素直に支援できたでしょう。

 これは非常に難しい問題だと思います。ただ、今後の球界の発展のためには、たとえ来シーズンをつぶしてでも議論すべき問題です。