そこで選手会側はネーミングライツを主張するわけだが、少し検討してみよう。

 1:そもそも、選手会側が主張する球団名のネーミングライツっていうのは他に例があるのか?

 ――私の不勉強もあろうが、球場名はともかく、球団名の売却は世界レベルでも全く記憶にない。そもそも企業名が球団名に冠されていること自体が世界的に見ればほとんど無い。

 2:では実施したとしてどれだけの効果が見込めるのか?

 ――結論から言えば、そこまでして近鉄に球団を持ち続けろというのは無理ではないかと思う。
 理由として:
 球団名に自社企業の名が冠されていることが企業の宣伝につながってきたわけだから、球団名から自社の名が消えるのに球団を持っていたところで宣伝もクソもない。
 今まで球団の赤字は宣伝費として見逃されていた感があり(これ自体が問題である)、宣伝効果がない以上、企業論理として赤字の垂れ流しは許されない。球団を持てという方が無理である。
 さらに球団名の売却は、今回の近鉄の例からして、チーム売却の布石と捉えられるだろう。売却の結果幾ばくか黒字になったところで、企業のマイナスイメージはぬぐい切れまい。
 権利を購入する企業側に立ってみても、自社の宣伝になり、傾いているチームを救うことによる自社のプラスイメージ以外に利点はあるのか?むしろ、年間30億程度を払うのであれば、100億ぐらいで買ってしまった方が、経営権まで手に入れられる分効率が良い。ライブドアネーミングライツではなく球団売却を申し込んだのはおそらくこの辺が理由だろう。
 よって売却額が赤字を穴埋めしない限り、球団名のネーミングライツは売る側にも買う側にもさほどの意味をなさないのではないか……というのが私見である。

 しかもここまで近鉄の印象が悪くなった以上、名前が変わったところで近鉄が球団を持つことに違和感を感じるファンは多いだろうよ……安く買い叩かれるのがオチだろうね。
 結局、合併するか身売りするしかないのだ。