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辛い時間だった。
思えば約1年前、大学院の入試で研究者としての夢を絶たれ、就職先もなく途方に暮れていた。
そりゃそうだ。教授との面識もなきゃ研究のテーマについてろくに答えられねぇヤツなんぞ受かるはずもねぇ。
何も先のことを考えていない、実にアホな野郎だ。
大学を卒業してしまったらもうまともな就職先はない。
逃げるように公務員試験を受けようと決意した。
いや、このときはまだ良かった。
卒業してからの苦悩ときたら……。
特に国2しか選択肢が無くなった後、官庁訪問でエレベーターに送り続けられた時の絶望感。
もう社保しかないのか、いや社保もダメなんじゃないか。
来年もこれが続くのか……。
朝まで寝付けない日々が続いた。
自分の精神がこんなにも弱い物だとは気づかなかった。
内定先が決まった、それもたまたま自分の興味ある分野の機関から電話がかかってきて決まるとは、幸運以外の何者でもない。
これから先、どんな人生になるのか想像も付かないけれど、
とにかく必死に生きてやる
しがみついてでも生き残ってやる。
生きたくても生きられなかった人のためにも。